水の霊験レイライン
善通寺境内の北西の池の中に善女龍王(ぜんにょりゅうおう)を祀る祠があります。平安時代初期に空海が天皇の勅により京の神泉苑で甘え御降らせたという故事にちなんで建てられました。今昔物語では、空海の祈祷によって蛇の頭に 乗った金色の蛇すなわち善女龍王が現れ、雨を降らせたと伝えます。善通寺市には、こうした龍や水にまつわる水の聖地がいくつもあります。これらの中のいくつかは一直線上に並び、いわゆるレイラインをなしています。
レイラインとは、巨大遺跡や巨石、山の尾根や水辺などが、少なくとも四点以上並んだ直線をさします。その科学的根拠は希薄ですが、風景を見直す強い動機になってきました。満濃池を見おろす尾瀬山(おのせ)は善通寺建立の材木を切り出した山とされ、戦国時代までは尾背寺という山岳寺院がありました。ここには、山頂でありながら涸れたことがない神泉があり、古くから旱魃時に雨乞いの祈祷をするための水もらいの風習がありました。実は、ここを始点に、金刀比羅宮を擁す象頭山山頂の龍王社、曼荼羅寺北部の鷺井神社(以前は清瀧権現と呼ばれる)の龍王社、さらに高見島の龍王社が一直線上に並んでいます。探せば、こうしたレイラインは他にもありそうです。科学的根拠は希薄ですが、身近な風景を再発見する大きな動機になりそうです。
尾瀬神社
(尾背廃寺跡)
龍王社
(象頭山山頂)
龍王社
(鷺井神社)
鷺の井
(鷺井神社)