異世界に通じる石切谷の洞穴
仏教伝来後、寺院が建立され始めると、軟 らかくて加工しやすい凝灰岩が仏塔に使わ れました。天霧山の南麓は凝灰岩の産地で、 奈良時代から天霧石という凝灰岩の採石が 行なわれ、石切谷と呼ばれました。中世に なると、天霧石は讃岐だけでなく、中国四 国の広い地域で使われました。 石切谷の背後に位置する弥谷寺は、空海 誕生以前の約 1300 年前に行基が創建した とされ、伽藍は弥谷山山腹の凝灰岩の露頭 地に造営されました。弥谷山は日本三大霊 山の一つで、山に宿る神仏が信仰されます。弥谷寺の水場の洞窟は阿弥陀仏の仏国土、極楽浄土への入口と信じられ、地域の人々 は死者の髪を比丘尼谷の岩穴に納め、山頂 から流れる水で位牌を洗い、死者の極楽往生を願いました。現在は、真言を書いた経木を水で洗い清める「お水まつり」が行なわれます。
空海の学問所 水場の洞窟 牛穴 冥土通いの井戸
磨崖仏(弥谷寺) 磨崖仏(牛額寺) 蛇岩 石切場