水のネットワークと自然
日頃目にする池の水はどこから来るのでしょうか。もちろん、空から降る雨によるものですが、天水だけで満水にすることはできそうにありません。そこで、人々は降った雨をあますことなく集めて池に溜められるように造ってきました。降った雨は川となって海に流れていきます。この水も無駄なく使えるように池に溜められました。こうして、川と池の水のネットワークが作られました。
善通寺市には、空海が修築したという満濃池から発する金倉川が流れます。この川の水を池に引き込み、田畑を潤し、さらに別の池に溜めて別の田畑を潤すように次々と池が造られてきました。その結果、網の目のような水路ができあがりました。この池を中心とした水路網は、渇水のための水確保のみを目的としたものではなく、洪水時には大量に流れる川の水を分散させるための水害防災網でもあるのです。当たり前に見える風景の中に、実はとても大切なしくみがあるのです。
池の中の水草や土手の里の草花たちは、私たちの心を和ませてくれます。こうした草花たちは、もともとそこにあったわけでなく、人々がつくりあげた池や水路の土手に居場所をみつけて入り込んだ者たちです。いわば、人がつくりあげた自然と呼べます。中でも、オニバスは一年生の植物でありながら、一夏で小さな種から2mを超す大団扇のような葉を何枚も広げる豪壮な植物です。現在では、絶滅危惧植物に指定されているオニバスも善通寺市ではふつうに見ることができます。大切にしたい風景と言えます。
一面のオニバス
8月末の暑い日
オニバスが咲きます。
最初は1枚の
小さな葉から。